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    2017年05月01日 更新

    【転職成功ガイド】 「退職金制度」について

     退職金は「退職後の生活を支える資金源」としての役割りを担っている。しかし、近年は「退職金制度」を採用する企業が減少傾向にあるため、転職をする場合は「退職金」についての考慮も必要だといえるだろう。そこで本記事では、退職金制度の内容や転職する前に知っておきたいて退職金事情について解説する。


    目次

    • 退職金の持つ役割り
    • 退職金の種類
    • 退職金を受け取るために必要な勤続年数
    • 学歴・退職理由によって退職金の額は異なる
    • 退職金の変遷と現状

    退職金の持つ役割り

    退職した労働者等に対して支払われる給与

     退職金は退職した労働者に支払われる給与である。毎月支払われる通常の給与とは性質が異なっており、「資産」としての役割りが強い。例えば、定年退職の場合は老後の生活資金、転職を考えているのなら準備資金といった使い方などだ。

     ※「前払い退職金」など、例外については本記事の後半で解説する。

    退職金制度は法律上「義務」ではない

     民間企業において、退職金を支払うことは法律で決められていない。つまり、退職金制度を採用するか否かは企業の判断に委ねられており、退職者に必ずしも退職金を支払う必要はないのだ。企業によって採用している退職金制度は異なるため、自分の勤めている会社や転職を希望している会社がどの制度を採用しているのか、しっかりを把握しておく必要があるだろう。

     以下では、「退職金の種類」と「退職金を受け取るために必要な勤続年数」について解説する。

    退職金の種類

    退職一時金制度と企業年金制度

     退職金制度は大きく2種類に分けることができる。まず、もっとも代表的な制度の1つである「退職一時金制度」について説明する。退職一時金制度は、退職者に対し退職時に一括払いで支払われるのが特徴で、優遇措置が働きほとんど税金がとられないというメリットがある。
      
     もう1つの代表的な制度が「企業年金制度」である。社員に対し、企業が「年金」という形で支払う制度である。退職一時金との大きな違いは、長期的に継続して退職者に退職金が支払われることである。

    企業年金は「確定給付企業年金」と「確定拠出年金」がもっとも採用されている

     企業年金制度はさらに細かく分けることができる。ここでは主に採用されている「確定給付企業年金」と「確定拠出年金」の2種類を紹介する。

     まず「確定給付企業年金」という制度について。この制度の特徴は、各企業が独自に設定する企業年金であり、退職者が退職時に受け取る給付額を設定できるという点だ。設定した給付額を得るために、企業が資金を運用するといった形態を取っている。企業が資金の運営をするため、掛け金は会社の経費となり、資金運用による税金も取られない。また、仮に勤め先が倒産したとしても、確定給付企業年金として積み立てた資金は影響を受けない。しっかりと資金が守られ、退職者に支払われる仕組みとなっているのだ。
      
     もう1つの「確定拠出年金」は、アメリカの制度を参考にして2001年から始まった比較的新しい制度である。特徴は給付額を設定せず、掛け金を先に設定できる点である。確定給付企業年金のように、会社が責任を持って社員に退職金を支払うことは保証されておらず、自分で運用する必要がある。運用の仕方次第では退職金を増やすことも可能であるため、資金の運用方法が重要となる。

    前払い退職金制度

     前払い退職金制度は、毎月の給与やボーナスに上乗せして支払われる退職金である。毎月の給与を貰うたびに退職金が支払われることになるため、従来の退職金制度が持つ「長期雇用の促進」という目的からは離れる。このことから、前払い退職金制度は「老後の蓄え」としてではなく、スキルアップや新しい経験を促す意味合いが強いといえるだろう。

    中小企業退職金共済

      中小企業退職金共済は中退共(独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部)が運営している制度であり、「国が掛け金の一部を助成してくれる」「掛け金が非課税」「退職者の口座に直接退職金が振り込まれる」といったメリットがある。

    退職金制度一覧

    • 退職一時金制度
    • 企業年金制度(確定給付企業年金、確定拠出年金)
    • 前払い退職金制度
    • 中小企業退職金共済

    退職金を受け取るために必要な勤続年数

    多くの企業が3年の勤続を基準としている

     退職金の支払い条件は企業に委ねられているが、「東京都産業労働局」の調査によると、多くの企業は以下のような回答になった。

    退職一時金を受け取るための最低勤続年数「3 年」自己都合退職(52.1%)、会社都合退職(32.5%)

    出典:全文まるごとダウンロード - 東京都産業労働局

     この結果から、退職金を受け取るためには3年以上の勤務が必要とされる企業が多いことがわかる。退職して転職活動をする場合、転職期間中の生活費など多少の費用が必要となるため、転職を考えている場合は「退職金が支払われる条件やタイミング」などを考慮するといいだろう。

    学歴・退職理由によって退職金の額は異なる

    高卒、大卒における退職金のモデルケース

     東京都産業労働局が発表している「中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)」によると、学歴別の退職金支払い額は以下のようになっている。このモデルケースは高校・大学を卒業後すぐに勤務した場合の退職金としている。

    勤続年数10年(自己都合)    勤続年数10年(会社都合)
     ・高卒 91万円          ・高卒 122万円
     ・大卒 114万円          ・大卒 152万円

    勤続年数20年(自己都合)    勤続年数30年(会社都合) 
     ・高卒 298万円          ・高卒 704万円
     ・大卒 380万円          ・大卒 856万円

    出典:<図表8-1>モデル退職金 35


     勤続年数10年、かつ自己都合の場合は高卒で91万円、大卒で114万円とあまり大きな差は出ない。ただ15年、20年となるとその差は顕著に表れはじめる。とくに、20年時には高卒298万円、大卒380万円と約100万円もの差が出てしまう。

      会社都合の際は勤続年数10年、高卒122万円、大卒152万円とすでに約30万円もの差が開きはじめ、30年時には高卒704万円、大卒856万円、と約150万円の差が出る

     以上のことから、退職金を考慮した転職を行う場合、自身がどの条件にあてはまるのかを確認する必要があるといえるだろう。

    退職金の変遷と現状

    成果主義への移行により退職金の位置付けも変化しつつある

     現在、退職金制度を採用する会社が減少傾向にあるその背景として考えられるのが「雇用形態の変化」と「成果主義」の採用である
      
     成果主義はその名の通り仕事の功績や貢献度をより重視し、何か結果を残す度に社員を評価する考え方である。例えば、先述の「前払い退職金制度」は成果主義を反映した給与の支払い方である。給与やボーナスを支払う際に社員の功績を評価し、通常支払われる基本給に評価分の金額が退職前払金として上乗せされるのだ。

     また、厚生労働省の平成27年就労条件総合調査結果の概況によると

    退職給付(一時金・年金)制度がある企業割合は、75.5%で、企業規模別にみると、1,000人以上が93.6%、300~999人が89.4%、100~299人が82.0%、30~99人が72.0%と規模が大きいほど退職給付(一時金・年金)制度がある企業割合が高くなっている。

    出典:結果の概要(4 退職給付(一時金・年金)制度)|平成25年就労条件総合 ...


     上記のように「退職金給付制度がある企業」は75.5%となり、約4人に1人は退職金を受け取れていないことが読み取れる。評価制度の変遷により、退職金が持つ役割りそのものが変わりつつあるのだ。

    退職金制度がない場合

      公益財団法人生命保険センターが平成28年に発表した「生命保障に関する調査」によると「老後の最低日常生活費」は毎月22万円という算出になっている。仮に65歳で定年退職し85歳までの人生設計をした場合、1年で264万円、85歳までの20年間で5,280万円という金額が必要になる。年金などで多少の資金源は確保できるが、上記はあくまで「日常生活」に必要な金額である。

     このことからも、退職金の有無は将来設計を考える上で大事な要素になるため、転職を考える際は考慮する必要があるといえるだろう。

      最後に

     転職活動の際は、給与、自分の能力が活かせるか、会社の雰囲は合うかなどに目が行きがちだが、「退職金制度の有無」も重要な判断要素となる。
     
     本記事で紹介したように、退職金制度は今後も時流に合わせて変化してくことが予想される。キャリアプランにそった転職を成功させるためにも、退職金制度についての理解を深めた上で転職に挑戦していただきたい。