
2017年06月08日 更新
3分でわかる転職業界研究 「フィンテック」編
転職活動を成功させるためには、志望している業界・職種に関する知識を深めることが重要である。また、面接に臨む上で関連業種の最新動向や話題のニュースを知っておくことは必須だといえるだろう。 今回は、世界的に注目を浴びている「フィンテック」について紹介する。
目次
- フィンテックの基礎情報
- フィンテック業界の最新動向
- フィンテック業界の注目ワードをチェック
「フィンテック」の基礎情報
「フィンテック」とは技術を用いた金融サービスのこと
フィンテック(Fintech)とは、金融を意味するファイナンス(Finance)と、技術を意味するテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語である。金融サービスにおいて「利用者」がより使いやすくなるようなサービスを、技術を駆使して提供しようとする取り組みを指す。
スマートフォンやビッグデータ、人工知能(AI)といった最新技術の発展にともない、決済、クラウドファンディング、クラウド会計ソフトなど、幅広い分野で広がりを見せている。
フィンテックが登場したことで、スタートアップや起業家など、これまで金融サービスを支えてきた「大手金融機関」以外の参入が急速に増加している。こうした動きにともない、変化に乏しかった金融サービス領域において、フィンテックを用いたサービスの普及が進んでいる。
フィンテック業界の最新動向
フィンテック業界の市場規模は約49億円
現在は仮想通貨の基盤を支えるブロックチェーン技術などにスポットが当たっているが、今後は新しいソフトやソリューションを開発したベンチャー企業などが、高利便性・低コストの金融サービスを提供する事例が増えそうである。
増加傾向にある日本のフィンテック投資額
アメリカは、フィンテックに関わる企業への投資額が世界で最も高い。アクセンチュアによる「フィンテック、発展する市場環境」という調査によると、2015年には前年の約2倍である120億ドルを超えている。
対して日本では、2015年のフィンテック関連会社への投資額は6,500万ドルであった。しかし、2016年の投資額は1億5,400万ドルと、前年から倍増している。
国内の銀行やベンチャー企業も続々と参入
三井住友銀行では、2015年の10月1日に「フィンテック」専門の新部署を設立した。「SMBC×Fintech Future」と題し、消費者に向けてネットバンキングや口座開設にともなうアプリを提供している。
また三菱東京UFJ銀行は「MUFGデジタルアクセラレータ」といったアイデアコンテストを開催した。さらなる金融サービスの向上を目指し、起業家やベンチャー企業のアイデアを募るイベントである。
そして既存の金融関係会社だけでなく、フィンテックを利用したサービスを提供するベンチャー企業も多く誕生している。とりわけ国内では「クラウド型会計ソフト」サービスである「freee」や「ソーシャルレンディング」サービスである「maneo」などが注目を集めているようだ。
2021年市場規模が約800億円を超えると予測
現在約49億円のフィンテック市場規模だが、矢野経済研究所の調査によると2021年には808億円に急拡大する見込みだ。
その要因としては先述した大手金融機関の参入、ベンチャー企業同士の提携などが挙げられるだろう。他にも今後は仮想通貨の利用先が拡大し環境が整備されたり、ブロックチェーン活用に関する実証実験が増加したりすることが考えられる。
ブロックチェーン実証実験に関しては、すでに株式会社NTTデータと東京海上日動火災保険株式会社が「保険証券へのブロックチェーン技術適用に関する実証実験」を完了させた。これらのことから、今後フィンテック市場がさらに白熱していくことが期待できるだろう。
2017年 フィンテック業界の今後をチェック
- 「クラウド型会計ソフト」が注目を集めており、料金や機能など様々なものが出回っている。従来のインストール型会計ソフトから、中小企業を中心にクラウド化が進む模様
- 不動産業界向けに「ソーシャルレンディング(融資)」の需要が増大。東京オリンピックに向けた投資意欲が高まっていることが、その理由と考えられる
- 「ブロックチェーン」の実証実験が、NTTデータやみずほフィナンシャルグループなど、各社で進行中
- 業界規模:48億8,500万円(2015年度、矢野経済研究所)
フィンテック業界の注目ワードをチェック!
キーワード①:ブロックチェーン
ブロックチェーンは、分散型ネットワークのことを指す。複数のコンピューターにデータを分散し、改ざんが困難なネットワークを作る技術である。互いに監視を行い正しい記録を積み重ねていく仕組みで、不特定多数の参加者間で権利の移転を実現することに適している。
この技術によって一部の権力者に支配されることなく、世界中の人と自由に取引をすることが可能となる。元来、ビットコインの中核技術として開発されたものである。
キーワード②:ビットコイン
ビットコインとは仮想通貨の一種であり、インターネット上に流通している電子マネーのことを指す。サービスを運営管理する主体が存在せず、利用者同士で取引の情報を管理する仕組みが導入されているのが特徴である。
簡単に送受信でき、決済手数料も極めて安価であることから、ネット決済ツールとして注目を集めている。
キーワード③:FinTech100
「Fintech100」とは、米国の金融専門メディアおよび金融サービス企業による、金融ITサービス企業の上位100社ランキングである。
全世界の金融ITサービス企業を対象に、毎年秋に選出される。日本からは、2016年に株式会社野村総合研究所がランクイン。また近年は、中国のFinTech企業の躍進が目立っている。国内外を問わず、各企業の動向に注目したい。
最後に
金融サービスと技術を組み合わせたフィンテック市場は、現在多くの注目を浴びており、期待できる市場である。今後フィンテックによってどのような課題が解決できるのか、どう便利になるのかをきちんと考えることで、日本においてフィンテックが重要になってくるはずだ。
また金融関連会社だけでなく、テクノロジーに強いベンチャー企業などが参入することで、さらなるフィンテック市場全体の盛り上がりを期待していきたい。