ここで働きたいをつくる

派遣社員から正社員へ!  派遣と正社員の「違い」と正社員になるために気をつけるべきことを解説! アイキャッチ画像

    2017年05月16日 更新

    派遣社員から正社員へ! 派遣と正社員の「違い」と正社員になるために気をつけるべきことを解説!

     今日の日本は、賃金労働者のうち、4割近くが非正規労働者という現状である。働き方が多様化しているともとらえられるが、非正規労働者は正規労働者と比べると賃金や雇用形態が不安定という事実も否めない。そこで今回は、派遣社員と正社員との違い、そして派遣社員から正社員になるために知っておくべきポイントを解説する。

    目次

    • 派遣社員の定義と雇用形態の差異
    • 常用型派遣のメリット
    • 常用型派遣のデメリット
    • 登録型派遣のメリット
    • 登録型派遣のデメリット
    • 派遣社員と正社員の違いは
    • 派遣社員から正社員になるには
    • 派遣社員から正社員になるための履歴書や面接のポイント
    • 正社員を見据えて派遣社員になる道も

    派遣社員の定義と雇用形態の差異

     派遣社員とは、正社員やアルバイト・パートとは異なり、就業先ではなく派遣会社と雇用契約を結んで派遣社員として企業に派遣する雇用形態である。雇用者と派遣元企業(派遣会社)、派遣先企業(実際の就業先)の三者で成り立っている。

    派遣会社での雇用形態の差異

     派遣会社に雇用される際は、「正規雇用」と「非正規雇用」の2パターンに分類される。正規雇用は常用型派遣と呼ばれる形態なのに対し、非正規雇用は登録型派遣という形態である。

    ・常用型派遣

     常用型派遣は、正社員として派遣会社と雇用契約を結ぶ形態のことを指す。派遣先企業との有期契約が満了しても常時雇用契約が結ばれており、期間満了後は新たな企業へと派遣される。派遣先が見つからない場合でも給与が支給されるのが特徴だ。専門性が高く、特別な知識が必要な業種に多い形態で、派遣会社の正社員であることから雇用・待遇も充実しているといえるだろう。

    ・登録型派遣

     登録型派遣は、派遣会社に登録することによって非正規の雇用契約を結ぶ形態のことを指す。登録センターに足を運び人材派遣会社への登録を行い、派遣会社のサイトを通じて派遣先の決定や契約などを行う。雇用契約が発生するのは派遣先企業が決まって就業している間のみで、30日以内の派遣は「日雇い派遣」と呼ばれる。日雇い派遣は一部の業務を除いて原則禁止である。ただし例外として、アルバイトの学生や60歳以上・生業収入500万円以上の人などに対する日雇い派遣は可能だ。

    常用型派遣のメリット

    正社員として雇用されるので安定している

     常用型派遣は、派遣元に正社員として雇用されるため、先述の通り派遣先がない状態でも給与が支給される。また、ボーナスや昇給もあり、福利厚生が充実しているといった特徴がある。

    スキルが身につきやすい

     常用型派遣は、エンジニアや看護師などの専門的な業種に多く、特定の業務に専念する形を取る。そのため、どの派遣先でも高い専門技能を活かし実務経験を積むことができるのだ。

    常用型派遣のデメリット

    解雇のリスクが高い

     常用型派遣では、人員整理の際に派遣先企業の正社員よりも優先されてりまうといった懸念が挙げられる。派遣先がなくても給与は支給されるが、万が一派遣先が見つからない状態が続くなどした場合、派遣元の会社からの解雇される可能性もある。この点において、常用型派遣は一般企業の正社員と比べて雇用の安定性が欠けているといえるだろう。

    労働環境が安定しない

     常用型派遣では、人員整理などによって派遣先企業が変わってしまう可能性がある。企業を転々とすることになってしまうので、その都度新しい環境へ適応しなければならない。

    登録型派遣のメリット

    ライフスタイルにあわせて働きやすい

     登録型派遣社員として働くには、派遣会社への登録を行う必要がある。登録をした後は、自分の条件に合った就業先を探したり、派遣会社に紹介してもらうことで就業を開始する。そのため、就業内容の適合性が高いとったメリットがある。また、万が一トラブルが起きた際も派遣会社が間に入るため、安心して就業することができる。勤務場所や就業時間など、自分のライフスタイルに比較的合わせやすいのも利点だ。

    気軽に働ける

     もちろん企業によりけりではあるが、重要な業務を任されることが少ないため気軽に働くことができる。加えて、時給がパートやアルバイトよりも高いことも利点だといえるだろう。正社員では入れないような企業でも、派遣社員として働ける場合があるということもメリットの一つだ。

    さまざまな経験ができる

     派遣で募集される業種は幅広いため、さまざまな業務を経験することができる。正社員に転職する際には、派遣先で得た幅広い知識やスキルをアピールポイントとして活かすことも可能だ。また、派遣では基本的に定められた業務のみを遂行するので、専門性を高めることもできるといえるだろう。

    登録型派遣の「デメリット」

    人員整理の対象になりやすい

     登録型派遣では就業しやすいメリットがある反面、待遇や雇用期間の点で不利となる。基本的に有期雇用で、人員整理の際も優先的に切られやすい。いわゆる、「派遣切り」と呼ばれるものだ。

    待遇が正社員とは大きく異なる

     交通費が支給されないケースも多く、賞与や昇給の機会がないなど、福利厚生の面でも正社員と比べると受ける恩恵は少ない。時給制が多いこともあり、給与も正社員と比べ低くなる懸念がある。

    キャリアが安定しない

     時給自体はパート・アルバイトと比べると高いことが多いが、登録型派遣の場合、派遣切りをされると新しい仕事が見つかるまでの期間は給与が発生しない。人員整理がされやすく、長期的な雇用にはなりにくい点では安定して働けるとは言い難いだろう。

    派遣社員と正社員との違い

     企業の正社員と派遣社員の最も大きな違いは「業務の内容」である。派遣社員はあらかじめ作業内容が提示されているため、基本的にはその範囲内でしか業務を遂行しない。持つ責任の範囲も狭まるために、給与面では年齢が重なるにつれて格差が広がってしまうのが現状だ。

     厚生労働省が毎年まとめている「賃金構造基本統計」によれば、20代の派遣社員と正社員では給与格差はさほど変わりはない。しかし、30代、40代と年を重ねるにつれてその格差は2倍近くに膨れ上がっている。

    格差の理由は「社員の教育」にある

     このような格差が生まれる理由は、「20代の正社員に対する教育」が一つの要因である。20代の正社員採用は新卒採用が中心だが、新卒採用はそもそも仕事がわからないことを前提として採用するため、入ってきた正社員を自立させるために一から指導を行なう。

     こうした新人の教育にはそれなりの教育費も要する。20代で派遣社員と正社員の給与格差が大きくないのはこのためだ。しかし、指導される正社員は年齢が重ねるにつれてスキルアップ、あるいは出世し、責任の範囲も大きくなるため給与はアップしていく。登録型派遣に関しては原則スキルを「持っているもの」として雇われる。つまり、即戦力となる労働力として扱われるのだ。

     企業によって事情は異なるものの、登録型派遣の場合は新人社員のような指導や、スキルアップのための教育が受けにくいことが多い。これに賞与などの待遇面の懸念も合わさり、30代を過ぎる頃には正社員との格差が広がってしまうというのが現状だ。ただし、常用型派遣の場合は派遣元の正社員であり、専門的な業務を行うことで実務経験を積むためこの限りでない。

    派遣社員から正社員になるには

     派遣社員から正社員になる方法は、大きく分けて二つ存在する。一つは「今いる会社にそのまま登用される」という方法。もう一つは「他の企業に正社員として転職する」という方法だ。

    今の会社でそのまま正社員として雇用される場合

     派遣社員を雇用している企業の中には、以下のような理由から正社員への直接雇用の打診をする企業がある。主に三つのケースに分類される。

    ・「優秀なスタッフでこのまま雇用しても大丈夫だろう」というケース

     企業が派遣従業員を雇う際は、直接雇用や雇用安定の努力義務が課せられている。その点でも最も望ましいパターンである。働きぶりがよく、良好な信頼関係を築いている証拠であろう。このケースは、慣れた職場で引き続き働きつつ、待遇も良くなり安定するという最も理想的な形である。

    ・給料の他にかかる派遣料金が高く、人件費を抑えたいケース

     派遣スタッフの雇用には給与だけでなく、雇用主が支払う社会保険料や有給休暇の費用、派遣会社に支払う諸経費などがかかる。これらの経費は、派遣料金の3割近くに登る(以下グラフ参照)
     給与はもちろん、派遣元となる人材派遣会社に対しても経費がかかるため、人件費の総額は直接雇用よりもかかってしまう。これを抑えるために、派遣スタッフに対して直接雇用を打診することがある。特に中小企業に多いパターンだろう。

    ・厳格な法令によるリスクを避けるケース

     派遣法では、派遣労働者が行える業務の範囲を細かく定めている。庶務系の業務では最大3年しかスタッフを受け入れることができず、それ以降は直接雇用になる。その上、厚生労働省による監督業務も厳しく、万が一指導がかかってしまった場合には社名が公表される恐れもある。年々ルールが細かく、なおかつ厳格になっていく中で、法令の見落としによるイメージダウンのリスクを避けるというパターンだ。 

    派遣社員から正社員になるメリットとデメリット

     派遣社員から正社員となることには、次のようなメリットとデメリットが存在する。

    ・メリット

     常用型派遣の場合は、派遣会社ではなく特定の企業の正社員になることで人員整理のリスクを減らすことができる。

     登録型派遣の場合、派遣社員として働いていたときと比べて待遇がよくなるだけでなく、雇用期間が無期になるので安定して働くことができるというメリットがある。新しい環境に移らなければいけないというストレスがなくなることに加え、仕事に対する評価もより綿密なものになるため、自らのスキルアップに向けて大きく前進することができるといえるだろう。

    ・デメリット

     正社員になった場合、業務の範囲が広がるのでより責任感を持って働かなければならない。企業によっては残業も発生し、結果として待遇が悪くなってしまうケースもあり得るので注意が必要だ。

     同じ会社で派遣社員から正社員を目指す際は、その会社の派遣社員に対する待遇と、正社員になった後の待遇・労働環境の変化を比較することが重要だ。また、会社が派遣社員の正社員登用に積極的なのか否かも検討しなければならない。もしも正社員登用に消極的な場合、他の企業に正社員として転職という選択肢を検討することも一つの手だろう。

    他の企業に転職する場合

     派遣社員から正社員への転職を目指す場合は、派遣社員として働きながら通常の転職活動を行うことになる。この際、最も注意すべき点は「前職が派遣社員であったことをどのように活かすか」ということだ。そこで、面接や履歴書の志望動機で何に気をつけるべきかを以下で紹介する。

    派遣社員から正社員になるための履歴書や面接のポイント

    職歴には派遣会社と派遣先の双方を記入する

     職歴を記入する際は、派遣として勤務していたことを明記しなければならない。そのために登録した派遣元を最初に記入した上で、派遣先として勤務した会社をすべて挙げる。

    派遣社員の職歴記入のしかた(派遣元の登録会社が1社の場合)

    • 1.「人材派遣会社 XXXに登録し、派遣社員として以下の勤務に従事」と記す
    • 2.雇用期間と会社名、業務内容を正確に記す
     もし登録した派遣会社が複数の場合は「人材派遣会社◯社に登録」とし、必ずしも派遣元すべてを書く必要はない。

    志望動機に「雇用の安定」は書くべきではない?

     先述のとおり、派遣社員から正社員へ登用される最大のメリットは雇用の安定である。しかし、企業側が正社員に求めるのは派遣社員ではできないような業務・責任をしっかりと果たすことのできる人材のはずだ。たとえ雇用の安定や待遇の良さが理由だとしても、企業への貢献度をアピールせずに社員として雇用されることは難しいだろう。

     派遣社員時に得たスキルを活かして応募先の企業で成し遂げたいことを記すのはもちろんだが、派遣社員から正社員になることでより広く、かつ責任のある業務に従事したいという思いをいかにアピールできるかが重要なポイントだ。

    面接では派遣以上の責任感をアピールする

     面接でも履歴書同様、「派遣社員と正社員の違いをどう考えているか」という意図の質問が中心となる。そのため、これらの違いをしっかりと把握した上で面接に臨まなければならない。派遣社員で経験したことや得たスキル、その中で感じた責任感、そしてこれをどのように活かすかを伝えることは必須である。さらに派遣と正社員との業務上の相違をしっかりと理解し、その責任を果たせるということをアピールしていかなければならない。

     面接と履歴書に共通するのは、雇用の安定などの理由にとどまらない、派遣から正社員になることへの強い意志、そして責任感をアピールすることである。

    「正社員」を見据えて派遣社員になる道も

    「紹介派遣制度」とは

     紹介派遣制度は2000年の改正労働者派遣法で解禁された比較的新しいシステムで、派遣として一定期間勤務したのち直接雇用に切り替えることができるというものである。先述の通り、派遣として勤務するのは最長でも6ヶ月である。つまり、派遣として入社しても、遅くとも6ヶ月後には正社員に切り替えられるのだ。正社員として無期雇用になる前に会社の環境などを実際に体感することができるので、理想の労働環境を見つけやすいという利点がある。

     ただし、この制度で保証しているのは「直接雇用への切り替え」という点に留まることを理解していただきたい。つまり、企業によっては直接雇用されても正社員ではなく有期の「契約社員」として、あるいはパートなどの「非正規雇用」になる場合もあるので注意が必要だ。

     いずれにせよ、「正社員として入社したときのミスマッチを防ぎたい」と考えている転職者には有効な手段の一つだといえるだろう。

    最後に

     スキルアップや福利厚生・給与などの待遇、仕事へのフィードバックがあること、そして雇用の安定と、派遣社員から正社員になるメリットは大きいといえるだろう。しかり、ワークライフバランスなど、自分に適した働き方の選択肢は年々広がりを見せている。どのような働き方があるのかをしっかりと把握し、自分の目指すキャリアステップにあった就業形態を見つけていただきたい。

     上記を考慮した上で派遣社員から正社員を目指すという場合には、派遣社員と正社員の違いを十分理解することが必要である。派遣社員として培った経験はもちろん、それを活かして正社員としてより一層の責任感を持つ強い意志があることをしっかりとアピールできるかどうかが、転職を成功させるカギとなりそうだ。